どうやら私、推しに推されてるみたいです…。

今の声って…。まさか春木くん?
ていうか、推しって…。

クラスメイトの春木裕太(ゆうた)くんのウキウキした話声に私は小さく肩を落とす。

立ち聞きするのは良くないとわかってはいるが、今の会話内容的に教室に入れる雰囲気ではないことは察した。

「俺、立川…!」

「俺は〜吉田かなぁ。アイツ地味だけどさ〜。よく見たら美人だし」

どうやら数名の男子生徒が教室内に残っているようで順番にクラスの女子の名前を上げている。

どうしよう…。鞄、ロッカーの中なのに…。
もしかして、この話が終わるまで私、中に入れない…!?

盛り上がっている教室内。
一向に終わる気配のない会話にどうすべきか、悩んでいると。

「で、凪音はどうなん?」

…え!?

春木くんが指名したのはまさかの凪音くんで…。
思わず、自分の身体が緊張で、硬直したのがわかった。
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