愛する人と暮らす初めての日
 彼女にも理屈は分かっていないらしいが、妖精には自浄作用があり、汗はそもそもかかないし、垢等の汚れは勝手に綺麗になっているらしい。

 手入れをしなければ肌や髪は傷むが、生きている限りは体は綺麗に保たられるようだ。

 妖精にそんな能力のようなものがあるとは思わず驚く。


「なら、リーベは風呂に入らなくてもいいのか……?」


 独り言のように呟く。
 なら俺が手早く風呂を済ませてしまおうかと考えたところで、リーベが口を開く。


「やっぱり私お風呂に入る」

「わかった。もし困ったことがあったら呼んで。隣の部屋で朝ご飯作ってるから」


 どうしてか分からないが、風呂に入るつもりになったらしい彼女にそう告げてキッチンに向かう。
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