カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 ある日、白那と家のリビングで話をする。ちゃんと距離を取って話をすれば、警戒もされないし、嫌いとも言われないらしい。

「俺と付き合ってくれる?」
 多分、これは白那からすれば災難だと思う。でも俺はやっとここまでたどり着いた、と感じた。そしてここから、ひょっとしたら本当のお別れが来るかもしれない。

 でも、始めなければ、何も進まないから、フラれても仕方ない気持ちで言ってみる。

 すっかり驚いた顔をする白那を見ていたら、俺は蒼真以上に気遣いの搾取をしているのかもしれない、と思った。
 逃げ道はちゃんと作るし、白那の気遣いを搾取するつもりはない、と言う意味で、もし無理ならちゃんと別れる、と言っておく。

 白那の答えは「いいよ」だった。けれどその表情が不安そうだったので、俺も方も急に不安になるのだった。
 嫌なのに嫌っていえない状況を作り出しているのでは?と。

 強引に家に連れて来られて、近づかれて言われたから、怖くて、仕方なくOKを出すしかなかったんじゃ?と。

 白那の前でキャラクターを失った俺は、完全に、弱気になっていた。
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