カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 夜リビングに来ていた白那に、それとなく、
「こんなニュース出ていたけど、これ白那だよね?」と聞いてみる。

 白那はPCの画面に出した記事を読んで、え、と驚きの声をあげた。
「こんなの知らない」
 と言うのだ。
 となれば、取材とは聞かされずに記事を書かれた可能性が高い。

「美女?これ見て来た人、絶対怒るよね」と白那は笑う。
 俺が「美女だよ、偽りなし」と言えば、「嘘ばっか」と言って照れるので可愛い。

 聞いていいのか迷いながら、
「これ、どこでやった施術?」
 と聞いてみる。
 サロンじゃないように見えるから、と言ってみると、白那も少し躊躇ったようにしながら、
「知り合いの施術ルーム。協力してって言われていて」と言う。

「知り合い?」
「瑠璃也も知っている人って、彰文くんが言ってたんだけど」
「ああ」
 ため息が漏れてしまう。

 どう考えても、静馬だ。「日埜静馬だね」と俺が言えば、白那は頷いた。
「私の力が必要だって言われて、手伝ったときもあって。この記事はそのときのだと思う」
「白那の力?」
「そう。私には具合の悪いところが見えるし、それを一時的に緩和させる力があるみたい。だから、日埜くんにはときどき協力してくれって言われることがある」

 日埜くん、と白那は静馬のことを呼んでいるらしい。正直心は穏やかじゃなかった。さらに、白那が切り出した話題で、俺の心はより穏やかさを失う。
< 177 / 275 >

この作品をシェア

pagetop