カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 静馬のことを気にし続ける瑠璃也に、ママのことを何とか聞きだす。

 ただ、経営面や実家関係の色々な話を聞いてはいるけれど、納骨の話は聞いていないと言うのだ。打つ手なし、と私は思う。

 その後瑠璃也はPCやスマホで何やら調べものをし始めて、「泊まりたいけど、今日は課題と作業があるから帰る」と言って帰っていく。

 瑠璃也が帰る前に、「白那おさめ」と言ってハグをする。この日は、依頼をされていないので黒いもやは出てこない。
 私は安心したけれど、瑠璃也は「なるほどね」と言って少し微妙な顔をする。
 静馬とハグをしたと勘違いされるのがイヤだったので、「今日はしてないし、いつもだってこんな風にはしてないよ」と言って、いつもはしないけれど、私も背中に手をまわしてみた。

 そしたら、もう一度強く抱きしめられて、
「今度もう一回して。今日は帰らなきゃいけないし、かなり切ない」と言って瑠璃也は笑う。

 そしてまた明日、と瑠璃也は言って帰っていく。

 また明日、と言える相手がいる安心感があった。
 瑠璃也はママがいなくなってから、これまで、その時間を作ってくれたんだと思う。
 大切にされている、と感じた。それだけで胸の奥がジンと熱くなる。この時間や関係をじっくりと大切にしたい、と言う思いもあった。

 そう思うと、瑠璃也を失うことが余計と怖くなるから、困ってしまう。私といることで瑠璃也に災いが来て、例えば寿命が削られてしまったら?

 だとしても、私は今のこの関係を失くそうとは思えない。瑠璃也を傷つけてしまうかもしれないけれど。
 矛盾した感情があることに気づきながら、私は瑠璃也を見送った。
< 206 / 275 >

この作品をシェア

pagetop