カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
ひとりぼっち
ママの実家の人たちが葬儀をあげてくれた。詳しい話はまったく分からず、私はママの娘のはずなのに、どこか蚊帳の外でその様子を眺めるだけだった。
ママは高校卒業とともに家を飛び出していたから、思わぬ再会に泣いている人もいた。
親族と思しき人からの私への視線は冷たく、ママを奪った男の子ども、という印象から私に接してきているのが分かった。
私はパパのことを知らないし、昔の事情はまったく知らなかったけれど。
ママは著名な家のお嬢様だったらしく、葬儀には何かのメディアで見たことのある顔もあった。
私はただぼんやりと私の知らない古い写真の遺影を眺めて、
「言っといてよ、お嬢様だなんて聞いてないよ」
とママに話しかける。
ぼやけた表情のぼやけた写真のママは、私の知る可愛いママじゃなかった。無表情でこちらを見ている。
こんな写真でいいのかな、もっといい写真あったのに、と思ったけれど、私には当然のごとく発言権などなかった。
私の存在はほとんど無視されて、遠縁の誰かのような扱いで私はそこにいて、葬儀はつつがなく執り行われたのだ。