氷の華とチョコレート

 ふと、チャイムが鳴った。


「来たかな?」


 インターフォンに映し出された人影を見る、この前会ったKEYさんの姿を確認して、ドアを開けた。


「KEYさん、わざわざありがとうございます」

「ん、……仕事だし」


 相変わらず、抑揚のない話し方。あんまりお話してはくれない人かしら?

 出来れば、真間さんのお友達だから仲良くしたいと思っている。彼が、私の友達である暁陽と菜摘と一緒にWデートしてくれ、打ち解けてくれて、とても嬉しかったから。今度は私が、真間さんのお友達と仲良くしたい。


「ここ借りていい?」


 キッチンに置いていた小さめのテーブルをさして、KEYさんが背負っていたリュックを床に下ろす。今ゴソゴソとしている、リュックから取り出したものを置くのだろう。


「どうぞ?」

「ん……」


 私の言葉を待ってから、リュックから黒くて大きめの機材を取り出してテーブルに置いた。


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