氷の華とチョコレート

◆ 再びの……




 その後、何度か頭を振り、私から離れた真間さんが、「氷室さんは、眠れそうだったらまた寝て?」と言ってくれたので、ただ鼓動を落ちつけたくて、急いで支度をして寝室へ戻る。


「……」


 速くなった心臓の音を抑えるため、ベッドの上で深呼吸を繰り返す。これから三日間ここで暮らすと言うのに、真間さんが近くて、ドキドキすることが多くて落ち着かない。私の為に色々考えてくれての事なのに、こんな風に浮かれている場合ではないわ。

 でも

 あ、あんな真間さん見せられて、眠れるのだろうか? ……私。

 大きく息をついて、ベッドに潜り込むと、さすがにまだ、一週間分の寝不足の方が勝ってくれて、また記憶が途切れるように眠ることが出来た。




 良く眠れていたはずなのに、遠くでドアを叩く音が聞こえる…―――


 ダンダンダン……、ダンダンダン……

 男の人が叫んでいるような声も聞こえる。遠くだからか、何を言っているのかわからない、けれど……?

 ダンダンダン……、ダンダンダン……

 近所迷惑な人だな、そろそろ苦情が来そうなくらいにうるさくて……。



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