双子アイドルは俺様暴走族!
嫌な予感がして、俺は眉間にシワを寄せる。
「そう。面白そうでしょう?」

「カヤは物じゃない。たとえ勝ったとしても、手に入れられるとは限らない」
そう言うと圭はますます面白いというように、笑い声を上げた。
「【ツインズ】の晴が言うような言葉じゃないね? 本気になると手に入れることも怖くなるの?」

「……お前だって、カヤが好きならわかるだろう?」
「わかるよ、少しはね。でも、俺はそれよりももっと欲しいものがあるんだ」
圭の声が低くなる。
まるで、俺を試しているようだ。

「俺が勝ったら、黒猫の頭は俺がもらう」
耳元で、低く唸るように圭が言う。

まるで飼い主に忠実なフリをして、噛みつく機会をうかがっていた犬のように。
「お前1人が黒猫と白狗を束ねる気か?」
「そういう事」

圭はそう言い、俺の肩に手をかける。
「俺たちのチームは大きくなりすぎた結果分裂させたハズだ。どうして今更元に戻すんだ」

双子なのに圭が何をたくらんでいるのかわからない。
無意識に握りしめていた拳に、汗がにじむ。
「俺、嫌なんだ」

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