双子アイドルは俺様暴走族!
喧嘩
目の前が真っ白になったあたしは、気がつけばリーサへ向かって掴みかかっていた。
リーサはそのまま後方へよろけてドロの中に尻もちをつく。
あたしはその体の上に馬乗りになり、リーサの髪を千切れんばかりに引っ張った。
「ちょっと何するのよ! 痛いじゃない!!」

リーサがあたしの下でわめく。
とりまきたちは慌ててあたしを止めに入るが、あたしはそれを振りはらって再びリーサへ掴みかかった。
リーサの美しい髪は泥まみれになり、頬やおでこにも土が飛び散った。

それは徐々にリーサの内面を浮き彫りにしているように見えて、あたしは更に土へと押しつけた。
「一般人をイジメて楽しい? 集団になって1人を標的にして楽しい?」

あたしは頬に、体に泥をまぶす。
お前の本当の姿は泥まみれた。
腐敗臭のするとびきり汚い汚染水だ。

「ちょっと、なんなのよこの子!!」
リーサはすでに涙目になっていて、頬を伝って落ちる涙は土で茶色く汚れていた。
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