シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~
ゆうかに味見をすすめられた若槻は、週末にまたバイト先に来た。
「トライアルデート、どうでしたか?」
と聞いてくる。
「普通だったよ」
と私は言った。
「普通って、グットなのかバッドなのか」
「まあまあ。彼氏いるから、コメントしにくい」
「付き合ってるかどうかと、オレとのデートが良いかっていうのは別っすよ」
「そうかなぁ」
「オレとも付き合っていけば、今の彼氏さんとオレ、どっちと先に別れるかって時間と状況が決めてくれると思います」
「なにその理屈?ヤバいよ、今はお客さんだからとっても言いにくいけど、ヤバい!」
「一目ぼれなんですってば。桃みたいないい香りして、見たら村瀬さんいたから。顔も好きだったし雰囲気も好きだった。ここで逃したら、もう絶対後悔するって思ったんで」
それはまさしく、私が彼氏に感じていたのと同じだ。
「仕送りの食費削ってここ来てますもん」
「やめたほうがいいよ、そんなの。つぎ込んでも報われないもん、私彼氏と別れるつもりないもん」
「時間が決めてくれると思います。だから、付き合ってください」
「ヤダよ!早く注文してください!」
と私は端末で顔を隠して、一旦キッチンの方へ逃げていく。
欲しくなっちゃう気持ちは分かる。踏み出したらもっと欲しくなっちゃうかもしれない。
あげられないって分かってるのに、踏み出すのは優しくないと思う。
「オレの気持ちは変わんないんで」
と若槻は言って、カフェラテを飲んで帰っていった。
「トライアルデート、どうでしたか?」
と聞いてくる。
「普通だったよ」
と私は言った。
「普通って、グットなのかバッドなのか」
「まあまあ。彼氏いるから、コメントしにくい」
「付き合ってるかどうかと、オレとのデートが良いかっていうのは別っすよ」
「そうかなぁ」
「オレとも付き合っていけば、今の彼氏さんとオレ、どっちと先に別れるかって時間と状況が決めてくれると思います」
「なにその理屈?ヤバいよ、今はお客さんだからとっても言いにくいけど、ヤバい!」
「一目ぼれなんですってば。桃みたいないい香りして、見たら村瀬さんいたから。顔も好きだったし雰囲気も好きだった。ここで逃したら、もう絶対後悔するって思ったんで」
それはまさしく、私が彼氏に感じていたのと同じだ。
「仕送りの食費削ってここ来てますもん」
「やめたほうがいいよ、そんなの。つぎ込んでも報われないもん、私彼氏と別れるつもりないもん」
「時間が決めてくれると思います。だから、付き合ってください」
「ヤダよ!早く注文してください!」
と私は端末で顔を隠して、一旦キッチンの方へ逃げていく。
欲しくなっちゃう気持ちは分かる。踏み出したらもっと欲しくなっちゃうかもしれない。
あげられないって分かってるのに、踏み出すのは優しくないと思う。
「オレの気持ちは変わんないんで」
と若槻は言って、カフェラテを飲んで帰っていった。