シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~
 しばらくの冷却期間をおいたあと、彼から「会おう」と連絡が来た。

 区立の図書館で落ち合ったときには、奇妙な緊張感が走る。
 読書スペースにいた彼に、
「あの、久しぶりだね」
 と私は声をかけた。

「久しぶり」
 と彼も返してくれる。

 フラれるかもしれない、と予感があったけれど、彼が何かを言うまでは、付き合っている前提で接しようと思っていた。
「保険は解約したって聞いたけど。大丈夫?」
 彼は頷く。

「どこも問題ないよ。ただ自分でも、あんな風になることがあるとは思わなかった」
 と言うのだった。

 あんな風、というのは、どれのことを言っていたんだろう?と思ったけれど、真昼の図書館でする話じゃない気がした。
 そのくらいの節度はあるつもりだ。

「その、条件の検討っていう話だったけど。その後はどういう感じ?」
 探りを入れてみるつもりだったけれど、予想外に彼はハッキリと言った。
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