金髪くんの一途な愛


「だ…大丈夫です…!!
風に当たってたら楽になってきたので…!」


本当はあなたに話しかけられてびびったから引っ込んだんですけど!

そんなこと言えないし、『とにかく大丈夫です!』と返事をする。

そしたらすぐにどこかに行ってくれると思ったのに。

その金髪男子は私の前にしゃがむと、

背負っていたリュックをおろし、リュックをあさりはじめた。


「これ」

「……え?」

「タオル。
口に当てとくと少しは楽かも」


男の子は自分の口元に手を持ってきて、抑えるような仕草をする。

そしてカバンから出したタオルを私に押し付けるように渡してきた。


「新品だから。
汚くはない…と思うんで」


不安そうにそう言うと、男の子は人の流れにそって階段を上っていってしまった。


「あ…」


まだ吐き気が少し残っているせいで、大きな声で呼び止めることもできず、

渡されたタオルをぎゅっと握って、自分の口に当てて呼吸した。


(……あ…言われた通り、少し楽かも)


見た目は怖かったけど…優しい人だったな…。



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