美魔男の完璧な仕事に心が溺れる


 二人を乗せたタクシーは、店から死角になる場所で停まった。沙羅は翔の言葉を聞いて大きく頷いた。でも、緊張しているせいでまばたきをする事を忘れている。

「沙羅、龍也との再会を楽しんでおいで」

 翔はそう言って送り出した。今さら、怖がらせてもしょうがない。会うと決めたのならその信念を貫いてほしい。
 そして、沙羅に遅れて翔も店に入った。店の雰囲気はホームページで見たままの感じだったけれど、奥に個室があるのが気になった。翔の嫌な予感は的中する。今、見渡せる範囲に沙羅の姿は確認できない。

「よ、翔!」

 店の全体が見える一番いい席に七海が座っていた。今回、完全にレストランという店の性質上、一人で食事をするより二人の方が何かと都合がいいと思い、七海に付き合ってもらっていた。

「沙羅は?」

 翔の問いかけに七海はまずは座るよう促した。

「奥の個室に連れて行かれた。でも、大丈夫。早めに来たついでに、カメラ仕掛けといたから。
 それと金子達也はまだ着いてない」


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