【完結】ぶらっでぃ☆ふぃあんせ!!~幼馴染の男の子が実は双子のヴァンパイアで溺愛されてます~

遠い日のプロポーズ


 爽やかな風が通り過ぎて、高校までの道のりを手を繋いだまま歩く。
 ぶらっでぃ……ふぃあんせの話はどうなったのぉ。

「入学式なんかめんどくせーな」

「本当だね。でも今日から久々の人間界だ。しっかりやらないと」

「そうだなぁ」

 なんか二人で話をしてるけど……人間界って、どういうこと!?
 
「二人共ぉ! どうして二人なの!? それに、に、にんげんかいとか……もう全然わかんないよぉ!」

 私が混乱しすぎて、ちょっと泣きそうになりながら言うと二人はピタッと止まる。

「忘れたか? 雛菊」

「え?」

「ハロウィンに話したんだけどな。忘れちゃった? 雛菊」

「え? ハロウィン……?」

「あぁ、俺達が魔界に帰る前のハロウィン。ハロウィンのパーティーでさ」

 幼稚園であった年長さんのハロウィンパーティーかな。
 みんなで仮装したのは覚えてる。

 あの時、カイくんは吸血鬼の格好をしていた。

「吸血鬼の……時?」

「そう、雛菊は可愛いお姫様だったね」

「そう。あの日だけは絶対お互いにパーティーへ出たいって時間差で出たんだ」

「時間差……? じゃあもともとカイくんは二人だったの?」

「そうそう。魔界では8歳になるまでは双子は一人として生きなきゃいけないんだ。でもあの時に……俺達は話したんだけどなぁ」

「だ、だって……ハロウィンに『吸血鬼だよ』って言われても……」

 覚えてはいる。
 でも吸血鬼だよって言われても、仮装の話かと思うし……。

「それともうひとつ話しただろ?」

「覚えてるよね?」

「……え、えっと……」

 やだ、恥ずかしいよ~~~。

「俺のお嫁さんになってくれるって言っただろ?」

「えっ」

 や、やっぱり、その話!!

「いいよって、雛菊は言ったよね」

 あの日、二回も同じ約束をした。
 カイくんに二回プロポーズされて、二回オッケーした。

 それがまさか別々の二人だったなんて!?

「で、でも……二人って……」

 結婚の約束って言っても二人は別の男の子だったら、結婚するってどうするの!?

「三人で結婚するんだよ」

「うん。ずっと一緒だよ」

「ひゃあ!?」

 三人で結婚!?
 初恋の男の子は、実は二人の男の子で……二人が私のことを!?
 パニックすぎるよぉ~~~~~~~~!!
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