熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
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妊娠がわかってから成輔はいっそう頼れる夫となった。
私につわりの症状があるせいだろう。家事は積極的に担当してくれ、私が食べられる数少ないものを常に探し用意してくれている。トマトなどが多少食べられるので、現在家には何種類ものトマトがある。
もともと尽くすタイプの成輔は、身重の私に何かするという行為に満たされるものもあるようだ。

「会社、有休使ったら?」

成輔はそう言うけれど、出産に備え、今できることはやっておきたい。
産休と育休のあとスムーズに職場復帰できるように。

「大丈夫。吐き気があるから、自然と無理はできない。仕事始めると熱中しやすいから、逆に吐き気で中断する方が健康的かもしれない」
「うーん、それもなんだかなあ」

成輔は苦笑いしながら、私の腰をそっと抱く。

「きみもお腹の赤ちゃんも、俺が勝手に心配してるだけ。きっとふたりはたくましいんだろうけど」
「成輔が心配にならない範囲で仕事するわ。安心してよ」

私は彼の鎖骨の当たりに顔を押し付け、ふうと息をつく。
安心する匂い。どんなに気分が悪くても、成輔がそばにいてくれると楽だ。
本当は一日中そばにいてほしいなんて、口が裂けても言わないけど。……実行しそうだし。

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