熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
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夏がゆっくりと行き過ぎ、秋がのろのろとやってきた。
九月半ばのこの日、私は大きくなったお腹で買い物を兼ねた散歩をしていた。

八月の後半から産休に入った。赤ちゃんは十月の初旬に生まれてくる。
最初はつわり以上の実感がなかった妊娠も、時間をかけて大きくなっていくお腹に否応なく母親になる日が近づいているのを感じる。

成輔は相変わらず、というよりいっそういい旦那様ぶりを発揮し、日常のありとあらゆることを不便なく暮らせるよう尽くしてくれている。それでいて、経営している企業はすべて業績好調。さらには正式に風尾グループ内で役職に就任するという話が出ている。
成輔は私とは根本的に脳の使い方が違う。彼はマルチタスク型だ。さらにひとつのことに夢中になる私よりはるかに優秀な頭脳を持っているときている。
普通に考えたら、ちょっと嫉妬してしまいそうだ。
産休も取ると意気込んでいる成輔だが、産まれてから育休を取る方向で切り替えてもらっている。
なにしろ、もういつ産まれてもいい時期とはいえ、私に出産の兆候はまったくなく体調は良好。お産をうながすために私も家事を頑張っているので、成輔まで家にいると、ふたりで家事を片付けてしまいあっと言う間にやることがなくなってしまうのだ。

「さて、お産まで健康的に過ごしますかね」

額の汗をぬぐい、エコバッグを担ぎ直して歩く。
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