熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
「俺、いい子にしてるだろ? 葵が嫌がることはしてない」
「今してるけど」
「これはご褒美。そうは思えない? 優しい夫にご褒美をくれる気はない?」

自分で優しいとかなんなのよ。
そう思いつつ、確かにこの一週間、成輔のおかげでふたり暮らしはうまくいっている。成輔は余計に踏み込んではこないし、私が居心地いい距離をはかってくれている。

「ちょっとだけだからね」
「ありがと。葵、愛してるよ。いい匂い」
「変な気、起こさないでね」
「起こしそう」

じたばた暴れると「冗談だよ」と笑われた。ずっとこの男に遊ばれている気すらする。
十分ほどそうしていた。ようやく成輔が私を解放してくれるので、私は膝から降りる。成輔のグラスに残ったワインをぐいっと飲み干したのは、成輔が眠そうにしていたからだ。これ以上、飲ませないほうがいいだろう。

「何にやにやしてるのよ」
「そのうち、自分からこうやって甘えてくれるんだろうなって考えてた」
「んなわけあるかい。ほら、眠いならさっさとお風呂に入っちゃいなさい」

私は成輔の腕を引っ張り立ち上がらせ、大きな身体をバスルームに向かってぐいぐい押すのだった。



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