幸せな音

告白

 補聴器の調整点検を理由に足繫(あししげ)く優武の店に通うようになってから二ヶ月が経った頃、彼、相良優武は勇気を意を決したように言った。

「早稲田さん、その、もしよかったら今度食事に行きませんか……!」

「え? なんて?」

「いや、あの、ちょうど美味しそうなお店が駅前で開店するみたいで!」

 これはまさかデートか。デートのお誘いなのか。いやダメだ。今は何も考えずに笑う事だけ考えろ。優武が不安そうな顔をしているじゃないか。知能指数低そうな満面の笑みで応える信愛。

「いいですねー! ぜひ行きましょう!」

 信愛は終始満面の笑みを絶やさず店を出る。街路時の角を曲がってからしゃがみ込んで身悶える。夢みたいだ。まさか優武からデートに誘ってくれるなんて。

 家に帰ればベッドの上で激しく身悶えた。いや、こんな無為な時間を過ごしている暇はない。すぐに親友兼恋愛アドバイザーの鈴木りんに電話して夜通し相談した。
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