完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「それに俺、職場では可愛い系なのかもしれませんが好むコーヒーはブラックだしこういうマスコットを飾ったりもしないので」

 ニッと口角を上げる彼は、きっと私が受け取りやすい理由をくれているから。

 
「……だったら、貰うわ」

 手渡されたマスコットをきゅっと抱きしめるように胸元へ持っていく。

「ありがとう、水澄さん」

 精一杯の素直な気持ちを口にすると、たれ目気味の彼の目尻がより一層下がったような気がしたのだった。
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