完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話
「でも火のない所に煙はって言うでしょぉ?」
「確かに。つまり俺とのことも噂になってるんだね」
「そ、そうなの! だから私」

“水澄さん強いわね”

 苛立つ様子どころかにこにこと笑顔を振りまきながら話を進める水澄さんにタジタジとする姿は少し可笑しくて、小さく吹き出すとそんな私に気付いた彼がニヤリと目を細める。
 少し意地悪に見えるその少年のような笑みを見て、ちょっと楽しくなっていた私はビクッと肩を跳ねさせる。

 もしかしてこれは。
 
「ちょっと、貴方何を言うつもり――」
「他の噂は嘘だけど、でも俺との噂は本当なんだ。俺たち真剣に付き合ってるからさ」
「なっ!」

 ハッとした時にはもう遅く、決定的な一言を発した水澄さんに私も同僚もぽかんと口を開けた。


「って訳で、今日の定時後迎えに来るからご飯でも食べましょうね? 美月サン」
「……ッ」

“やられた……!”

 ここまで断言されれば食事は断れない。
 しかも真剣に、なんて言われたら……何も、困らない。

「あら?」

 何も困らないという事実に呆然とする。
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