相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
「どうしたんですか?」

「んー?
気になってんじゃないかな~って思って」

「え?」

「“俺とマオさんの関係”」

「………」
姫華の表情が、微妙変わる。

「…………やっぱりぃー!
そんな顔してる!!」

「………」

「そんなに時間取らないからさ!
ちょっと、付き合ってよ?」

姫華は真皇に【少し、遅くなります】とメッセージを送り、二人は近くのカフェに向かった。



「━━━━━姫華ちゃん」
カフェ内の奥のテーブル席。

長い足を組んだ風谷と、向かいに姫華が対当している。
ほんとに、様になるくらいカッコいい。

きっと姫華に真皇がいなければ、見惚れていただろう。

「マオさんから、俺のことどんな風に聞いてる?」

「どんな……
不動産をいくつも持ってて、色んな店のオーナーでもある。
みんな見た目に騙されるけど、マオさんより恐ろしい人だってです」

「へぇー!
まぁ、嘘ではないわな(笑)」

「あの、風谷さんって……」

「國瀬組の組員だよ」

「………」

なんとなく、そんな感じはした。
居酒屋の前で会った時の雰囲気と、風貌。
でも改まって言われると、やはり驚愕し固まってしまう。

「大丈夫、大丈夫!
なーんにもしないから!
俺はこんなだけど、マオさんとは本当に友人関係なだけだから!」

「は、はい」

「マオさんが中二の時かな?
俺が学生の時にいたチームに入ってきたんだ。
俺はとっくに引退して既に組に入ってたんだけど、マオさんを初めて見た時、ほんとビックリした!
“なんだこの悪魔、怖っ!”って!」

「………」

「怖かった━━━━━
14歳だよ!?
そんなガキに、俺はビビったんだ!
存在感が恐ろしくて、威圧感バチバチしてて。
“あぁ…このガキは仲間にしておかないと、俺が殺られる”って思った。
マオさんさ、この頃から既にチームの奴等に“マオさん”って言われたんだよ?
マオさんが一番年下なのに(笑)」

「そうだったんですね……」

「組の中には、俺の他にもマオさんの友人がいるんだ。
元々から俺と同じでチームに所属してた奴だったり、俺と仲が良い奴だったり色々だけど、みんなマオさんを“友人として”慕ってる。
マオさんは自分が認めた仲間のためなら、自らを省みず守り戦う強さがあったから」

「そうなんですね」

「マオさんが、君に出逢った時。
その日に、俺達全員を呼び出して言ったんだ。
“今日から、俺の前に現れるな”って」

「え?」


「お前等と俺が友人だなんて知られたら、きっと嫌われる。
そんなの、耐えられない。
頼むから、俺を解放してくれって」

風谷の表情が、切なく歪んでいた。
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