幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「穂波君は良いって言ってくれたけど、火恩寺君はどう?一緒に行かない?」
「俺ですか?祭りの手伝いがあるんで、一緒には回れませんが。来てくれる人数が多けりゃ多いほど焔生の龍の奴も嬉しいと思いますよ。それに、俺としては最後の花嫁のほうが大事です」

「最後の花嫁って、朝も言ってたね?」
「はい。その話は明日、来てもらったときにでも。候補は他にもういるらしいですが、姐御に敵うわけありませんから」
「うん?それじゃあコー……」
 幸太郎に視線を移すと、
『俺も行くよ』
 言うまでもなくそう返事が来る。

「うん。その格好のままじゃ手伝いには行けないもんね」
『ていうか、こいつらの思惑が分かるから放っておけないっつーかな』
「思惑?何それ?」
『とにかく俺も行く』
「そうなの?」
『そーなの!』
 幸太郎はそう念を押す。
 良く分からないけれど、ものすごく夏祭りに行きたいみたいだ。

 わたしはお付の人に向き直ると、
「そういうわけで、みんなで行くことになったので松代君も来ませんか、と誘ってもらえますか?」
 そう告げた。

 すると、彼は頬にしわを刻み、
「そう伝えておきます。坊ちゃまはきっとお喜びになりますよ」
 そう言って去っていった。
 優しそうな人だな、とその背中を見ながら思った。

「それじゃ、ミサのとこには、松代君が迎えに行くかもしれないしー。明日は現地に集合する?」
 そうまほりが言う。
「そうだね」
 一旦どこかに集まるとなると二度手間になる気がする。
< 163 / 395 >

この作品をシェア

pagetop