幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
●圧力系男子
予定よりも少し早く火恩寺前に着くと、正面入口にリムジンが横付けされていた。
何だろう、と見ているとドアが開かれ、松代君がおりてきた。
「松代く……」
と声をかけようとしてはたと止まる。
今、塀の上からとんでもないものが見えた気がしたからだ。
何だかとてつもなく大きい何かが……。
けれど、もう一度見上げるとそこには、暮れなずむ空があるだけだった。
「本田。人の名前を呼びかけてやめるな」
と言って松代君がやって来る。
シンプルなシャツに質の良さそうなズボンという私服姿だった。
「ごめんね、何か変な幻覚が見えたから……」
「幻覚?」
首を傾げる松代君の後ろには、リムジンのわきにはじいやさんの姿が見えた。
じいやさんはこちらに向かって会釈をしてくれる。
思わずわたしも頭を下げる。
それからじいやさんは車に乗り込むと車を発進させた。
「想像通りというか何と言うか。松代君、じいやさんの送り迎えなんだね」
「何の想像だ」
「坊ちゃまのセオリー?」
少し茶化すつもりでそう言ったのに、
「世の中には変わったセオリーが存在するのだな」
と生真面目に返されてしまう。
うすうす気づいてはいたけれど、松代君はどこか変だ。
いや、そもそもわたしの周りに変じゃない人がいたかどうかも今や分からないけれど。
わたしがそんな余計なことを考えていると、松代君が不思議そうな顔をして、こちらを見てくる。
何だろう、と見ているとドアが開かれ、松代君がおりてきた。
「松代く……」
と声をかけようとしてはたと止まる。
今、塀の上からとんでもないものが見えた気がしたからだ。
何だかとてつもなく大きい何かが……。
けれど、もう一度見上げるとそこには、暮れなずむ空があるだけだった。
「本田。人の名前を呼びかけてやめるな」
と言って松代君がやって来る。
シンプルなシャツに質の良さそうなズボンという私服姿だった。
「ごめんね、何か変な幻覚が見えたから……」
「幻覚?」
首を傾げる松代君の後ろには、リムジンのわきにはじいやさんの姿が見えた。
じいやさんはこちらに向かって会釈をしてくれる。
思わずわたしも頭を下げる。
それからじいやさんは車に乗り込むと車を発進させた。
「想像通りというか何と言うか。松代君、じいやさんの送り迎えなんだね」
「何の想像だ」
「坊ちゃまのセオリー?」
少し茶化すつもりでそう言ったのに、
「世の中には変わったセオリーが存在するのだな」
と生真面目に返されてしまう。
うすうす気づいてはいたけれど、松代君はどこか変だ。
いや、そもそもわたしの周りに変じゃない人がいたかどうかも今や分からないけれど。
わたしがそんな余計なことを考えていると、松代君が不思議そうな顔をして、こちらを見てくる。