幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「そっかあ。やっぱり変なこと起こっちゃったんだね」
 縁側でお茶をすするおばあちゃんのように、まったりとしたテンポでまほりは言う。
 幸太郎が犬になったことなんて想定範囲とでもいった感じだ。

「あのお……さっきまでのハイテンションと期待はどこに?」
「ごめんごめん。ミサが急にモテモテで困っちゃう、っていうような大変さかと思ったから」
『ミ、ミサキがモテモテ?』
「何それ……どういうこと?」
「昼間、言ったでしょ。あのインドのおまじない恋愛感度アップするって。あれね、本当はモテモテになるおまじないなの」
「はいぃ!?」

「むやみやたらにモッテモテ、色んな恋愛の機会がやって来るスペシャルなおまじない。アホマホサークルのメンバーが持ってた本に出てたの」
「ご、ごめん、まほり。今理解できない単語が1個あった。アホマホサークルって何?」
「え、言ってなかったっけ?アホウになるまで魔法を研究しましょうサークル。略してアホマホサークル。近所の公民館で不定期に活動してるの。もちろんわたしもメンバーだよ」
 そう言って、まほりは私服のスカートのポケットから会員証を取り出して見せてくれる。

「会員番号一桁は名誉会員なの」
 と変に得意そうだ。
「そ、そうなんだ。いいよ見せてくれなくて、ホント」
 そんな怪しいサークルが市民の集う公民館で活動するって、どうなの!?
 という突っ込みを入れたくなったけれど、ともかく脳の片隅に置いておく。
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