幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「横堀、一緒にごはん食べよ?横、良い?」
「さっきの練習見てました。シュートかっこよかったです!」

「ほらー横堀君の大好物のから揚げあげる。その代わりわたしの名前ちゃんと覚えてね」
「横堀先輩。夜、わたし達の女子部屋来てください!きっと盛り上がりますよ!」
 横堀、横堀君、横堀先輩……。

 と名前が呼ばれる呼ばれる。

 午後の練習や集会を終えて夕飯のために食堂にやって来たら、いつの間にか女の子に囲まれてしまっていた。
 ほとんどが運動部の女の子達で、わたしもよく見かける子達だった。

 きゃあきゃあと盛り上がるのは良いけれど、人数が増えてもその調子でボリュームがどんどん上がっていくので、さすがに頭が痛くなってきた。

 一緒に来た紀瀬と斉藤はいつの間にかテーブルの端っこに追いやられ、主に斉藤が苦笑いを浮かべている。

「ひゃー、モテモテじゃーん。良いじゃんコータロー、みんなまとめて、俺らの部屋に呼んじゃえよ」
 紀瀬は抜け目なく調子の良いことを言うから、
「ええーホントにーっ!?」
 と女の子達がますます盛り上がってしまう。
 いや、止めてよ、紀瀬……。
 と思うけれど、女の子大好きな紀瀬にそんなの望めるわけもない。

 斉藤に至っては、女の子のパワーに圧倒されてしまい、わたしがアイコンタクトで助けを求めても必死に首を横に振るだけだ。
 無理、無理、と。

 仕方ないので、わたしは紀瀬や女子達のノリに交ざるともなく交ざりながら、夕食のチキンカレーを食べきってしまうことにした。
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