幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「な、何か現実的な分怖いよ……その話」
「この土地で、毎年火山が噴火していたっていう文献も残ってるみたいだしー、わたしも今までは信じてたんだけど……。ミサの話を聞くと、ただの色ボケ龍がお嫁さん欲しさに大暴れ、っていうほうがぴったり来るような気がするよね?」

「確かにね。というか、そもそも民俗学者さん達は、本当に龍がいるなんて思ってないんだと思う」
 わたしだって、自分が巻き込まれていなければ、焔の縁伝説も焔生の龍も、単なる御伽噺としか思わない。
「じゃあ、わたしが証拠をとって龍はいましたよーって発表したら、民俗学の先生達、ひっくり返っちゃうかな?」

「世の中がひっくり返っちゃうかもね……」
 いや、アホマホサークルなんていう魔界と天界をも巻き込んだサークルの活動が公民館で行われる世の中なら、ピクリともしないのかもしれない。

 わたし達がそんな話をしている間、戸田さんは洞窟に数歩足を踏みいれて、中の様子を伺っていた。
「どう戸田さん?」

 わたしが聞いてみると、
「それが……気配はあるの。わたしが前に来たときみたいに、洞窟が青く光っているから、龍はいるんだと思う。でも、何だか……」
 戸田さんは歯切れ悪くそう返す。
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