幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
●きれいにしめさせて
「焔ちゃん!」
わたしは、そばに転がっていた龍の玉のかけらを拾うと、龍へと投げる。
龍の身体に当たったかけらは溶けるようにして、その鱗へと吸収されていく。
『おお。力が満ちるぞ』
龍は天を仰ぐように顔を上にあげると、身体を打ち震わせる。
「今なら、わたし達に起こっているすべてのことを元に戻すことが出来る?」
まほりがわたしにかけたおまじない、入れ替わってしまったわたしと幸太郎の身体、そして、『わたしたち』の消えた世界。
それが、わたし達を取り巻く、異常事態だ。
『可能だ。だが娘よ、前にも言ったとおり、我の力にも限界がある』
まほり達とかけら探しを始めるときに、龍は言っていたのだ。
龍の力ですべてを戻すには、事が入り組みすぎていると。
「分かってるよ。だから、焔ちゃんの言っていた方法でいい」
わたしは戸田さんとも相談をして、その方法でいいと決めた。
例え、今のわたし達のとって、ちょっとだけ悲しい結果になったとしても構わないと。
「ちょっと待てよ、ミサキ。何だよその方法って」
真っ直ぐな眼差しで幸太郎はわたしを見る。
そんな表情を見ると、わたしの姿をしていても、紛いようもなく幸太郎だと分かる。
伊達に長年幼なじみをしているわけじゃない。
だから、本当のことを言えば、幸太郎が駄目だと言うのも分かっている。
「やってみれば、分かるよ。焔ちゃんお願い」
わたしがそう言うと、龍は幸太郎の胸元を見る。
『本当に良いのか。お前の胸の焔は――――』
わたしには、胸の焔を見ることは出来ないけれど、どんな焔が燃えているのかは、分かっている。
だから、龍の言おうとしていることも分かるつもりだ。
「大丈夫だよ。きっと、全部消えちゃうわけじゃないから。というか、例え消えてても、全部引き寄せてみせるよ。それにね、焔ちゃんは見守っててくれるんでしょ?縁を司る神様なんだから」
『なるほど、気の多い娘だ。興味深い。良いだろう、お前の望むままに』
龍がそう口にした途端に、空気の圧力がぐっと強くなり、琥珀色の気流が生まれる。
わたしは、そばに転がっていた龍の玉のかけらを拾うと、龍へと投げる。
龍の身体に当たったかけらは溶けるようにして、その鱗へと吸収されていく。
『おお。力が満ちるぞ』
龍は天を仰ぐように顔を上にあげると、身体を打ち震わせる。
「今なら、わたし達に起こっているすべてのことを元に戻すことが出来る?」
まほりがわたしにかけたおまじない、入れ替わってしまったわたしと幸太郎の身体、そして、『わたしたち』の消えた世界。
それが、わたし達を取り巻く、異常事態だ。
『可能だ。だが娘よ、前にも言ったとおり、我の力にも限界がある』
まほり達とかけら探しを始めるときに、龍は言っていたのだ。
龍の力ですべてを戻すには、事が入り組みすぎていると。
「分かってるよ。だから、焔ちゃんの言っていた方法でいい」
わたしは戸田さんとも相談をして、その方法でいいと決めた。
例え、今のわたし達のとって、ちょっとだけ悲しい結果になったとしても構わないと。
「ちょっと待てよ、ミサキ。何だよその方法って」
真っ直ぐな眼差しで幸太郎はわたしを見る。
そんな表情を見ると、わたしの姿をしていても、紛いようもなく幸太郎だと分かる。
伊達に長年幼なじみをしているわけじゃない。
だから、本当のことを言えば、幸太郎が駄目だと言うのも分かっている。
「やってみれば、分かるよ。焔ちゃんお願い」
わたしがそう言うと、龍は幸太郎の胸元を見る。
『本当に良いのか。お前の胸の焔は――――』
わたしには、胸の焔を見ることは出来ないけれど、どんな焔が燃えているのかは、分かっている。
だから、龍の言おうとしていることも分かるつもりだ。
「大丈夫だよ。きっと、全部消えちゃうわけじゃないから。というか、例え消えてても、全部引き寄せてみせるよ。それにね、焔ちゃんは見守っててくれるんでしょ?縁を司る神様なんだから」
『なるほど、気の多い娘だ。興味深い。良いだろう、お前の望むままに』
龍がそう口にした途端に、空気の圧力がぐっと強くなり、琥珀色の気流が生まれる。