幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
 教室に戻ると、まほりが1人残って机で本をめくっていた。
「ごめん待たせちゃって……」
「あ、ミサ。おかえりー」
 と言って本から顔を上げる。

「しぼられた?」
「うん、ペットを大切にするのはいいけど、学校まで連れてくるのはいただけないって」
「今日は生徒も先生も多いしね。明日になればまた楽に連れて来れると思うけど」
「でも、それより早く元に戻すことを考えないとだね」
「じゃ、さっそくコータロー君迎えに行く?」

 まほりは本を閉じる。
「あ、でもちょっと待ってその前に、穂波君と約束が――」
 がらがらと教室の引き戸を開け、穂波君が入ってくる。
 タイミングがあまりにも良すぎる。
 ひょっとして話、聞かれた?

 けれど、
「ちょうど良かった。本田さんに椎名さん。朝のことで、ちょっと話させてもらえないかな」
 と特に変わった様子もなく穂波君はそう言った。

 聞かれてないみたいだ。
「魔界との交信のことだね。もちろん聞かせてもらいたいな」
「まだそのネタ引っ張るのか」
「じゃあ、少し場所移動しようか。ここだと誰か荷物を取りに帰ってくるし」
「そうだね」
 誰かに聞かれたくないことなのかな。
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