幼なじみが犬になったら、モテ期がきたので抵抗します!
「本田さんが俺のお弁当食べて、内臓からぎゅっと捕獲して、俺のこと好きになってくれると嬉しいな。そうすれば、一緒に手を繋いで帰れるし」
「は、はい!?」
 内臓から捕獲されるの、わたし?

「乙女っぽい願いだね」
「ああ、同じ部活の奴と約束しているから、行かないとだ」
 穂波君は腕時計を確認すると、ため息をつきつつ席を立つ。
「名残惜しいけど、またね、本田さん。また明日会えるの楽しみにしてるよ」

 穂波君はわたしににっこりと笑いかけ、去っていった。
 その背後に、お花畑が見えたような気がした。
「ミサ、モッテモテだね。おまじない効いたのかな」
「そ、そんなバカな……。おまじないははね返されたんじゃなかったの?」
「あはは」
 明らかな棒読みでまほりは笑う。

「まほりぃ」
 まさかこんなかたちで、人生初めての告白をされるとは思わなかった。
 ん……初めて、だよね。

 金の――――。
 また今朝の嫌な予感がして考えるのを中断した。
 何だろう、ものすごく嫌な予感がする。
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