俺さま御曹司元カレと強引な後輩くんのダブル溺愛に困っています。
「それにしてもすごいファッションだね」
「ええ。先輩と一緒に初詣ですから当然です。それにてっきり先輩も着物で来ると思ったので」

 紋付き袴の男なんて成人式以来だ。細身の身体。そして細面の黒髪に黒い和装がキリッと決まっていて、ちょっとカッコいい…かもしれない。でも約束の時間に大幅に遅れたのはマイナスだ。

「あのさ。四十二分も遅れて来てそれはないんじゃない?まず遅れたことを謝るのが先でしょう」
「四十二分もって…その二分の部分がきっちりしてる先輩らしいというか。細かいというか」
「ルーズな男は嫌いなんだ」
「そんなに細かいと男に嫌われる…」
「何か言った?」

 横を向いてボソッとつぶやいても、きっちり聞こえてる。
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