生贄教室
4時の生贄
「うぅ……」
彼氏の昂輝が化け物の腕に囚われて土煙の中に消えた。
それから10分が経過していたけれど、美麗は座り込んだまま動くことができず、頭をかかえてうめき声を上げた。

「美麗」
理沙は後ろから名前を呼ぶけれど美麗は返事をしなかった。
時々顔をあげては窓の外にいる化け物っを睨みつける。

今では校舎よりも巨大になった化け物だけれど、不思議と食事量に変化はなかった。
この街に出現したときと動揺に、1時間に1人食べればしばらくはおとなしくなる。
体の変化と同時に大食漢になるわけではないようで、その点で言えば幸いしていた。

「この……化け物!」
不意に美麗が叫んだかと思うと、椅子を持ち上げてベダンダに躍り出た。
理沙はなにもできずにそれを見守る。

美麗は椅子を化け物へむけて投げつけた。
椅子は座り込んでいる化け物の背中にぶつかったが、そのまま落下していく。
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