エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
幸せな地獄

 行動力がありすぎる北斗は、私から婚姻届のサインをもらってすぐ役所に提出した。

 晴れて末廣純美になると、今度は引っ越しだ。

 実家暮らしだったのもあってそれほど時間も手間もかからず、彼の復讐を受け入れると決めたあの日から十日も経たないうちに、新しい住居にやってくる。

 かつて付き合っていた頃と違い、彼は三十階建てのタワーマンションに住んでいた。

 毎日、二十八階の自宅に帰ってくるのは大変だろうと思ったのは内緒だ。

「荷物が少なすぎる」

 実家から運ばれたダンボール箱の数を見て、北斗が顔をしかめた。

「下着くらいしか入っていないんじゃないのか」

< 67 / 245 >

この作品をシェア

pagetop