アラ還は、もう恋しちゃだめなんですか?
「匠の母の五十嵐礼子です。」
お母様の第一印象は、院長夫人というお高く留まってる(あくまで由佳のイメージだが)感じではなく、美人でチャーミング、お母さんと言うより魅力的な女性だった。
オーラがあり、私は緊張して声が小さくなってしまつた。
「橘樹由佳です。」
「さ、とりあえず頂きましょ。」
ただ無言で食べている。
嘘でしょ。
何も話さないのかーい!
美味しいはずのお肉や海鮮、味わいたいのに落ち着かない。
おーい匠、『なんとかしろ!』と合図を送ろうとしたら美味しそうに食べている。
まるで他人事のように。
なぜ。だんだん腹が立ってきた。
もういい。私も美味しく頂いて、仮の業務を全うしよう。
この場の事を考えず勢いよく食べきった…、
ところで突然、「由佳さんはおいくつ?」
「母さん!「58才です」」
「じゃ、匠より6才年上なんですね。」
そうなんだ。匠先生52才なんだ。
考えたら、年齢も何も知らなかったんだ。
そもそも、どれくらい付き合ってる設定なんだろう。
「結婚は「母さん!」」
「考えていません。
というか、もうしません。
ご存じかどうか判りませんが、主人を亡くしたばかりです。
それにこの歳で結婚なんて、相続や介護の悩みしかありません。
もちろん跡継ぎなんて生めません。
これからの人生、穏やかに楽しく過ごせたらと思ってます。」
言ってしまった。
でも後で揉めるよりはいいでしょう。
聞きたいことはそういうことなんだし、
仮でも嘘はつかなくて良いって言ってたし。
あれ? なんかお母様怒ってる?
美人さんの、あのお母様が?
でも、そりゃそうかも。
結婚の意思無く、楽しく人生送りたいって息子の交際相手に言われたら。
「私はあなたにどころか、匠にも介護をお願いしようとは思ってません。」
えー、怒るとこそこ?
「いやいや、子供が親の介護、当たり前でしょ!
金銭的でなくても、同居とかでなくても、精神的でも、どんな形でも。
特に匠先生、50才過ぎて、なに心配かけて、面倒看ないなんてあり得ないでしょ!
私はまだ20代の娘にでも看てもらうつもりでいるんです。
離れていても、電話で声聞くだけでも、介護になるんです」
あの沈着冷静なお母様が、ぽかーんと口を開けて…。
「私が言いたいのは、この歳で結婚して翌日ボケました。
『あなた誰?』って人を一生介護しなければならない人生。
そんな状況、どちら側になっても考えられない。
先生、我慢できます?」
お母様だけでなく先生までもぽかーんと口を開けている。
しばらくして落ち着いてきたか、お母様は微笑んで、コーヒーを一気に飲み干して、
「御馳走様。お話しできてよかった。ごゆっくり。」と言って帰っていった。
あー、終わった。
息子の相手、アラ還で穏やかに楽しくって、ナイナイ!
私も「御馳走様」と言って、逃げるよう帰った。
これで仮はもう終わった。
偽物はやっぱり偽物なんだよ。
しょうがないじゃない。
誰にも嘘はつきたくなかったし、後で揉めるのはもっと良くない。
何か話し掛けてたようだけど、会計をしている先生を無視して逃げるように店を出た。
お母様の第一印象は、院長夫人というお高く留まってる(あくまで由佳のイメージだが)感じではなく、美人でチャーミング、お母さんと言うより魅力的な女性だった。
オーラがあり、私は緊張して声が小さくなってしまつた。
「橘樹由佳です。」
「さ、とりあえず頂きましょ。」
ただ無言で食べている。
嘘でしょ。
何も話さないのかーい!
美味しいはずのお肉や海鮮、味わいたいのに落ち着かない。
おーい匠、『なんとかしろ!』と合図を送ろうとしたら美味しそうに食べている。
まるで他人事のように。
なぜ。だんだん腹が立ってきた。
もういい。私も美味しく頂いて、仮の業務を全うしよう。
この場の事を考えず勢いよく食べきった…、
ところで突然、「由佳さんはおいくつ?」
「母さん!「58才です」」
「じゃ、匠より6才年上なんですね。」
そうなんだ。匠先生52才なんだ。
考えたら、年齢も何も知らなかったんだ。
そもそも、どれくらい付き合ってる設定なんだろう。
「結婚は「母さん!」」
「考えていません。
というか、もうしません。
ご存じかどうか判りませんが、主人を亡くしたばかりです。
それにこの歳で結婚なんて、相続や介護の悩みしかありません。
もちろん跡継ぎなんて生めません。
これからの人生、穏やかに楽しく過ごせたらと思ってます。」
言ってしまった。
でも後で揉めるよりはいいでしょう。
聞きたいことはそういうことなんだし、
仮でも嘘はつかなくて良いって言ってたし。
あれ? なんかお母様怒ってる?
美人さんの、あのお母様が?
でも、そりゃそうかも。
結婚の意思無く、楽しく人生送りたいって息子の交際相手に言われたら。
「私はあなたにどころか、匠にも介護をお願いしようとは思ってません。」
えー、怒るとこそこ?
「いやいや、子供が親の介護、当たり前でしょ!
金銭的でなくても、同居とかでなくても、精神的でも、どんな形でも。
特に匠先生、50才過ぎて、なに心配かけて、面倒看ないなんてあり得ないでしょ!
私はまだ20代の娘にでも看てもらうつもりでいるんです。
離れていても、電話で声聞くだけでも、介護になるんです」
あの沈着冷静なお母様が、ぽかーんと口を開けて…。
「私が言いたいのは、この歳で結婚して翌日ボケました。
『あなた誰?』って人を一生介護しなければならない人生。
そんな状況、どちら側になっても考えられない。
先生、我慢できます?」
お母様だけでなく先生までもぽかーんと口を開けている。
しばらくして落ち着いてきたか、お母様は微笑んで、コーヒーを一気に飲み干して、
「御馳走様。お話しできてよかった。ごゆっくり。」と言って帰っていった。
あー、終わった。
息子の相手、アラ還で穏やかに楽しくって、ナイナイ!
私も「御馳走様」と言って、逃げるよう帰った。
これで仮はもう終わった。
偽物はやっぱり偽物なんだよ。
しょうがないじゃない。
誰にも嘘はつきたくなかったし、後で揉めるのはもっと良くない。
何か話し掛けてたようだけど、会計をしている先生を無視して逃げるように店を出た。