まるごと大好き!
「俺は静波の、努力家なとこが好き。正義感の強いとこが好き。責任感の強いとこが好き。優しくしてくれるとこが好き。照れると顔を真っ赤にするとこが好き。それから──」
「あ、あの……まっ……」
「素直じゃないとこも好き。俺を心配してくれるとこも好き。俺に勉強教えてくれるとこも──」

 静波が、もう耐えられないとばかりに俺の口を手でふさいだ。顔は伏せてしまったから、どんな表情をしてるのかわからない。
 でも、火を噴きそうな両耳が俺に「恥ずかしいからもうやめて!」と訴えていた。

「少しだけ……少しだけ、話をさせて」

 静波は伏せていた顔を上げて、俺をまっすぐ見つめた。
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