まるごと大好き!
 早歩きで職員室に向かい、ノックしてドアノブを回す。「失礼します」と軽く頭を下げながら入った。

「ですから、本人と話し合いをさせてくださいと……」

 三津野先生の尖った声が聞こえてきた。そちらを見ると、受話器を握りしめた先生が荒っぽい態度で電話してる。
 私はメモ帳とペンを取りだして、「かねいしさん ひとだすけでおくれます きみしま」と簡単に書いて破り、三津野先生のデスクに置こうとした。

「……でしたら、今から保護者に連絡させていただきます。いえ、あなたではなく……」

 口調は丁寧だけどイラついてるのが私にまで伝わってくるし、ほかの先生もどうしたんだろうとこっちに視線を向けてくる。
 私はさっさとメモを置いて、担任の先生から日誌をもらおうとした。

「……」
「……」

 三津野先生はメモに気づくと、私に「待ってて」とジェスチャーで伝えてきた。
 なんだろう。静波ちゃんが疑われてるとは思えないけど。
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