ファーストクラスの恋 ~砂漠の王子さまは突然現れる~
「すごいなファーストクラスかよ。またいい彼氏でも捕まえたか?」
「はあ?」
ムッとした声とともに、怒りが顔に出てしまう。

でもまあ、お金持ちでもない私が国際線のファーストクラスに乗るのは違和感があって当然。
それに、前回乗ったのも今目の前にいる彼のお金だった。
やっぱり私にこの席は場違いだってことだろう。

「そういうあなただって乗っているじゃないの」
それでも自分がなぜここにいるかには触れず、お互い様でしょうと誤魔化してみる。

「俺は仕事だよ。出張でイギリスからの帰りだ」
「へえー」

確か親の会社に入ったって聞いたけれど、ちゃんと仕事はしているのね。
英語もフランス語も中国語も堪能だったから、海外のほうが活躍できる人材なのかもしれない。

「それで、今度はどんな男だ?」
「・・・」

悔しいけれど、私は黙り込んでしまった。
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