小児科医が甘え下手な看護師に愛を教えました
なんの料理を作ろうか、意外と期間は短く今週末まで迫ってきていた。

お昼ご飯を食べていると

「葵さん。ちょっと話したい」
悠くんが顔色を暗くしてきた。

「うん、じゃあおいで」
今日の悠くんの雰囲気からして、静かな場所がいいと思ったので許可を取って看護師が患者さんに簡単な説明をする部屋をお借りした。


「あっ、飲み物。紅茶でいい?」

「はい。ありがとうございます」

コップに注いで悠くんの前に置いた。

少し沈黙が流れた。
しゃべりにくいのかもしれない。


「私のお話から聞いてくれる?」

「はい」
顔を上げて少し安堵の表情が見えた。まずは私から話のベースを作ろう。


「私さ、真ん中に生まれたって言ったでしょう?親から愛されてるってあまり思わなくて生きてきた。だんだん自分が成長すると反抗したくなったんだよね。でも、私は頑固者って言われてたから、親からは"葵には何言っても否定されるからもう言わない"って言われて。

私が否定するのは私のことを見てほしくて、それがうまく伝えられなくてちょっと壁ができちゃったの。

でも、弟には勉強しなさい!とか言うのよ、親が。弟は親にイライラしてたけどそれが羨ましかった。私には何も言ってくれなくて、それが寂しくて。

当時の嫌なことがあったら書くって決めてる日記にね、四年生くらいでこうかいてあったの。

"私は親に愛されていない。弟には勉強しろって言うけど私には言わない。なんで?なんで?悲しい。辛い。怒ってくれることすらなくなった"って。

一人で泣くことを覚えたの。そこから私はひねくれて。優等生ではなかった」

「葵さんが?」

「うん。だから悠くんには伝えたい。素直になることってすごく怖いと思う。でも、素直に甘えるって子供にしかできない特権なんだよ」

「そんな特権、俺にある?」
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