タオル係の、独占欲。(短)

しーん、と。
静まり返る廊下。


部活に行く人は部活に。
帰宅部の人は、家に。
塾の人は、塾に。


目的ある人たちは、とっくに行動を起こし、教室をサッサと後にした現在。

教室に残るのは、二つのカバンのみ。



無気力イケメンと言われる、
緒都(おと)汰二(たに)くん。

そして“知らんぷりちゃん”と言われる、
小竹(こたけ)鏡花(きょうか)。私のこと。


この二人のカバンが、静かな教室の中に隣同士で並んでいる。


窓際。一番後ろ。

一週間前に席替えをして、超ラッキー席に当たった。



「……」




教室に誰もいない事を気配で感じ取った私は、ムクリと。肩までの髪を音もなく揺らし、頭を起こす。



すると――



「……」

「……」



茶色の瞳と、目が合った。
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