君が死ねばハッピーエンド
なんだろう。
このお腹の圧迫感は。

突然思いっきり何かに掴まれたような、それでいて内部から激しく殴られているような…

「さ…朔?」

自分の体じゃなくなったみたいな感覚。
朔からゆっくりと引き剥がした体が、ふわふわと宙に浮いているみたいだった。

「コレ…」

私のおへその下らへんに突き刺さるペティナイフ。

あぁ、これであのりんごを剥いたんだろうな。
面会に来ていた人は誰だろう。あんなことがあった後なのに不用心だな…なんて妙に冷静に思った。

「シイナだけズルいよ」

「ズル…?」

「シイナだけ俺にこんな傷作ってさ。きっと一生残るよ。シイナはそれを一生後悔してくれるんだろうなぁって思うと興奮するんだ。俺もシイナに一生の傷を残したい。いつ会えるか分かんなかったからさイライラしてたけど、こんなに早く会いに来てくれるなんてな…。やっぱりシイナは最高だよ」

体を折り曲げたままなんとか呼吸を繰り返す私から、朔はナイフを笑顔で引き抜いた。

朔からハサミを抜こうとした私に、渚先輩が「抜いちゃダメだ!」って叫んだ声が、今更になって耳の奥でこだました。

ボトボトって、朔にかけられた病院の白い掛け布団の上にも、床にも私の血がこぼれた。

「ッ………あッ…さ…なんで…」

「シイナ、とっても綺麗だよ。俺だけのシイナ。これで俺達はおそろいになれたね。二人だけを愛して生きていこうね。この傷が愛の証明だよ」

「さく…おねが…たすけ………」

「ねぇ、シイナ。シイナも示談にしてくれるよね?だってこれは、愛なんだから」
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