君が死ねばハッピーエンド
好きな人
「おはよ」

翌朝。
教室に入ろうとする私と朔の後ろから、クラスメイトの男子が言った。

すぐ真後ろに居たから、私はびっくりして肩が跳ねた。

「もー!びっくりした!」

「あはは。お前ら朝からイチャイチャし過ぎなんだよ。どけろ、どけろ!」

「あ、シイナちゃんおはよー!」

そばに居た女子も挨拶をしてくれる。

それから何人かの男女が私達の前まで来て、ごめんねって言った。

それを合図に、合唱みたいにクラス中から「ごめんなさい」が飛び交って、
「もー!いいよー!」って私が言うまで、それは続いた。

「本当は!まだ怖いよ。すぐに許せるほど強くないし、優しくもない。でも私はこのクラスが好きだったから。だからもう、今日からは今まで通り、ただのクラスの一部で居させて」

中には気まずそうにしている子も居る。
みんなみたいに「ごめんね」って言い出せなくて俯いている人も居る。

私は本当にこの事件は悲しかったけれど、みんなの中には正義感があったからだって思えば、許していかなきゃいけないこともある。

何よりも私は、やっぱり”どうせこの友情は一生じゃない“なんて思いたくなかったから。

あと少し。
少しずつ、普通に戻っていくんだと思う。

時々ふと思い出して、また怖くなって、
それでもずっと信じてくれていた人達のことを思えばきっとって、強くなりたい。
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