ミル*キス
「お前の名前って、美音子やろ?」

「はい」

「で、フジさんの孫ってことは、名字は富志?」

「う……」


ミーコの眉間にシワがよる。


「……何が言いたいんですか?」


「や、お前のフルネームって、富志美音子やろ? ……フジミネコ……ミネフジコ……って、お前、ルパン?」


思わず吹き出しそうになって口を押さえるオレ。


「うわーん! ひどいっ。子供の頃からずっとからかわれてるんですから! 言わないでくださいよ!」

「や、これは笑わずにおられへんやろっ!」


ムキになって怒るミーコが面白くて、オレは腹をかかえてゲラゲラ笑った。


「フジミネコて! あはは」

「ちょ……! 人の名前で笑うなんてサイテーですよ! てか、あ! 今、胸見ませんでした?」


そう言って、自分の胸元を押さえる。


オレはますますゲラゲラ笑った。


「どうせ、巨乳じゃないっすよ! 寄せて集めてやっとBですよ!」

「寄せて集めてB……」

「あ! また胸見た! てか、今同情しました? サイテー! 今、日本全国のBカップ以下の女の子を敵にまわしましたよ!」

「あははは!」


なんだかんだで、この夏はたいくつしそうにないな。

真っ赤な顔で文句を言うミーコを見ながらふとそう思った。

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