私の幸せ
そんな言葉を貰い、詩織は「ありがとうございます!」とまた深く頭を下げた。淡い期待が詩織の胸の中に生まれていく。

詩織が会議室を出ると、「お疲れ様。プレゼンどうだった?」とすぐに何者かに声をかけられる。その声を聞いた刹那、詩織の胸は高鳴り、頰は赤く染まっていった。

「とても緊張しましたが、お褒めの言葉をいただきました!」

「そうか。それはよかった」

そう言って笑った男性は、詩織に仕事を教えてくれている先輩だ。名前は滝本透(たきもととおる)と言う。小学生から大学までテニスをしていたため日焼けをしており、柔らかそうな癖毛が特徴的だ。そんな彼に、詩織は想いを寄せている。

「滝本さんがアドバイスを色々くださったおかげです!本当にありがとうございました。滝本さんがいなかったら、私、多分ダメだったと思います……」

「俺は大したアドバイスなんてしてないよ。これは上山さんの努力の結果さ」

そう言い、笑いかけてくる透に詩織は胸を高鳴らせていく。頰が赤く染まり、喉の奥から「好き」という言葉が出てしまいそうになってしまう。
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