私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「ありがとうございます」

ミドリさんはすぐに承知してくれたが、だいたいこの時間に散歩に出るのが最近の日課になっているので、もうすでに準備していてくれたのかも。

ミドリさんと一緒に道を歩く。
目的地の神社まで、徒歩十五分くらい。
ずっと家に居ると運動不足になるから、ちょうどいい。
もっとも、マシンルームで運動もしているけどね。

神社ではお祭りの準備が進んでいた。
もう今週末はお祭りだ。
忙しく働いている人たちが物珍しくてずっと眺めていられるが、早く用を済ませて帰らないと仕事が待っている。

神社ですることはもちろん、炯さんの安全祈願だ。
お賽銭を入れて鈴を鳴らす。
さすがに毎日一万円はつらいので、普段は五円で週に一度、一万円札を入れている。

……何事もなく炯さんが無事に帰ってきますように!
今日も炯さんの無事を神様に願った。
予定では今週末、炯さんが帰ってくる。
空港から直行、待ち合わせデートのやり直しだ、なんて言っていたが、大丈夫だろうか。
私のために無理なんてしてなければいいんだけれど。



お祭りの日は朝からそわそわしていた。
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