私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「スケジュールにも入れていたが、明日から一週間、出張なんだ」

もう知っていたけれど、昨日今日と楽しかっただけに淋しくなった。

「そんな顔をするな。
行きたくなくなるだろ」

ふふっと困ったように小さく笑い、彼が私の髪を撫でてくる。

「……ごめんなさい」

自分でもいけないってわかっている。
それに、今までは両親が不在でひとりでも、淋しいなどと思ったことはなかった。
でも、炯さんがいないと聞くと、淋しくなっちゃうのはなんでなんだろう。

「いや、いい。
それだけ凛音が、俺がいないのを淋しく思ってくれているのは嬉しいからな」

証明するかのように、軽く口付けが落とされた。

「それに俺も、しばらく凛音に触れられないのは淋しい。
だから」

彼の長い指が、私の胸をとん、と突く。

「この身体に忘れないように俺を刻み込むし、俺も凛音のぬくもりを刻みつける。
いいか?」

レンズの向こうから蠱惑的に光る瞳が私を見ている。

「……はい」

まるでその瞳に操られるかのようにこくんとひとつ、頷いた。

――その後。

「手を握られてイく癖でもついたのか?」

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