【短】made by……
天ヶ瀬家を継ぐ者として、もっと相応しい人を見つけるべき。それは同意見だ。
もし自分が孤児ではなく、どこかの良家の娘だったら、充希と結ばれる未来ももしかしたらあったかもしれない。そんな考えても虚しいだけの話を何度も考えた。
……しかし充希は、しばらくきょとんとした表情をしていたものの、やがてその口に笑みを浮かべだ。
「なんだ、もしかしてずっとそんなことを気にしてたの?」
「そんなことって……」
「君の気持ちが僕に向くかどうか以上の障壁なんて、あってないようなものだよ。おじい様が許さない? そんなの意地でも認めさせるに決まってるだろ?」
自信ありげに宣言され、リミは呆気にとられた。
そんな簡単にいくわけがない。いくわけがないのに……。
彼の顔を見るうちに、どうしてだか次第に上手くいくような気持ちになってきた。
「ふふ、それは頼もしいですね」
「っ……」
充希は何やら、驚いたように目を見開く。
「何か?」
「いや……君が笑うところ、久しぶりに見たよ」