性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。
その名前を出した途端、東雲碧のオーラがガラッと変わった。


私へ対する敵意、警戒心、触れるなという強い要求が1つのオーラとなって周囲に飛び散っている。


「…東雲碧も、大変な経験してきたんだよね。それなのに、よく知りもしない私が薄っぺらに“ファン大事にしろ”なんて言っちゃって、ほんとにごめんなさい」


早口に捲し立て、90度に頭を下げてそのまま後退する。


「…動きキモ。ゴキブリみたい」


「なっ!」


思わぬ暴言に勢いよく頭を上げると、その反動で何故かタッパーが宙を舞う。


あ、ヤバい。


そう思ったときには時すでに遅し。


茶色いドロッとした液体が真っ白い床に飛び散っていた。


スパイシーな匂いが廊下に立ち込める。


「てめえ……。人ん家の前でよくも…」


よく漫画で、怒りでワナワナと震える人を見かけるけど、今まさしく東雲碧がそれ。


…って、なに呑気なことを考えてるんだ。


「ヤバイヤバイ」
< 55 / 168 >

この作品をシェア

pagetop