余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
懇願する
この日の萌の体調もとてもよかった。


息苦しさも感じないし、数値も安定している。


食欲は旺盛で出された食事は全部たいらげている。


「ねぇ先生。今日こそ退院できない?」


担当医はカルテを見ながらしきりに首をかしげ、そして萌の言葉に苦笑いを浮かべた。


「そうだな。君はどこからどう見ても健康体にしか見えない。本当に不思議なことだけど、病気が動きを止めているように見える」


「それならっ!」


「あぁ。今日の午後退院ということでいいだろう」

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