余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
改善する
翌日は1日検査の日だった。


しかし検査が進むに連れて担当医は首をかしげ、そして難しい顔になった。


昨日学校にいたときよりも随分と体の調子は良くなっていたのだけれど、そんな担当医の態度に萌は少し不安になった。


「検査結果なんだけどね」


病室へ戻っていた萌のもとに、まだ難しい顔をしている担当医がやってきた。


一緒についてくれている母親も担当医の様子に落ち着かない様子だ。


「不思議なことなんだけど、今はすべての数値が安定しているみたいなんだ」


その言葉に萌と母親は目を見交わせた。


「それって、良くなってるってことですよね?」


母親からの質問に担当医は「そうだね。今のところはなんの問題もないと言えます」と、答えた。


萌と母親は手を取り合って喜んだ。


倒れたことなんて嘘みたいだ。


「学校には?」


すぐに萌はそう質問をした。


今日だって本当は朝から学校へ行きたいと思っていたのを我慢したのだ。


早く大樹に会いたいという強い気持ちがある。


「そうだね。今まで通り通っても大丈夫そうだね」


そう言う担当医の表情がようやく柔らかくなった。


「やったぁ!」


萌は母親と抱き合って喜んだのだった。
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