余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
そんなこと言えるはずがない。


希の気持ちに気が付かなかったのは自分も同じだ。


大樹と私は知らない間に希を追い詰めていたんだから。


《萌:少し調子が悪くて、早く帰ったの。会えなくてごめんね》


《大樹:大丈夫か? 今から家に行ってもいいか?》


《萌:もう大丈夫だよ。大樹は部活があるでしょう?》


《大樹:それなら、部活が終わってから少しでも会いたい。家まで行くから》


そんなに会いたいなんてどうしたんだろう?


嬉しさ半分、不安な気持ちが湧いてくる。


《萌:わかった。家で待ってる》
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